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日本酒の分類

2000年7月


 

今月で七年目に入った御園竹便り、今回も常務が書きます。

このところ、製品の味を消費者の方に説明する方法で悩んでいる。昔から良く言われている甘辛だけの尺度では人によって感じ方が違うということは、以前この便りにも書いた。それにもう一つ濃淡の尺度を足してもやはり何かすっきりしない。

日本酒研究家の松崎晴雄氏が提唱している分類(特に料飲店向け)に面白いものがあった(飲食店経営1999年6月号)。

ライト、フレッシュ、フルーティー、ドライ、メロウ、スイート、フルボディ、エイジング

の八つのタイプに分類し、味の違い、適温、飲む順序などを紹介したらどうかという提案である。それぞれのタイプの特徴をご紹介しながら、当社の製品を当てはめて見よう。

ライトタイプ(低アルコール酒)
アルコール度数が八度〜十二度の低アルコール酒。ハートホリデー、つゆ草
フレッシュタイプ(生酒、大吟醸)
みずみずしい香味が特徴の若々しい酒質。牧水生酒、御園竹大吟醸無濾過生酒
フルーティータイプ(大吟醸、吟醸)
果実のようなかぐわしい香りをまとった、一般的な大吟醸。御園竹大吟醸。
ドライタイプ(辛口、本醸造)
このところのトレンドであった、淡麗辛口タイプ。牧水本醸造、御園竹辛口など。
メロウタイプ(旨口、純米吟醸、純米酒)
ふくよかな味のふくらみをもった、いわゆる旨口の酒。牧水純米吟醸、御園竹濃醇旨口山廃原酒
スイートタイプ(甘口、純米酒)
米が本来備えている甘みを生かした、濃厚だが切れの良い甘口タイプ。御園竹甘口、若干異論があろうが春花見(二千年)
フルボディタイプ(濃醇、純米吟醸、山廃)
巾とコクのある、しっかりしてボリューム感のある酒質。甘辛酸苦渋の五味の要素が融和した味のある酒。牧水きもと純米、牧水極
エイジングタイプ(熟成酒、古酒)
長期貯蔵の古酒や熟成感を備えた酒。

このように分類すると、なんとなく味の違いがわかるような気がしてくる。しかし、当社の主力の酒である御園竹と牧水きもと本醸造の分類が難しい。強いて分類するとなると、メロウタイプであろうか。

もう一つ気づくのは、無理やり分類したためでもあるが、当社の全製品でほとんどの分類が埋まるということである。これをどう見るか。色々なタイプを出しているという姿勢を評価していただけると嬉しいが、逆に、武重酒造の酒はこんな酒であるというイメージがはっきりしていないと見ることもできる。大手でない、地方の小さな蔵元としては、どういう方針を打ち出すべきか、非常に悩むところである。

日本酒の味は非常に多様なものであるから、一つの分類法ですっきりと分けられるものではない。今回の分類法も、飲食店のメニューでの分類としては優れていると思うが、説明が必要なため、製品のラベルに書くのは難しいであろう。皆様がお酒を消費者に薦めるときや自分で呑む時の分類方法の参考になれば幸いである。

今後も機会があれば、いろいろな味の分類法を紹介していきたいと思っている。

 

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