特定名称のほかにも、様々な品質表示基準が定められて います。その中のいくつかを簡単に紹介します。
アルコール分の調整をせずに、醸造したままの状態で出 荷する清酒です(表示基準によると、1%以内のアルコー ル分の調整となっています)。ほとんどの原酒はアルコー ル分が 18% 以上で、口当たりがきついため味は辛く感 じます。※冷やして、または室温のままでお飲みください。
単一の製造場のみで醸造した純米酒を「生一本」と呼ん で良いことになっています。これは、他の蔵から買った清酒(「桶買い」と言います) ではなく、自社の蔵で作った清酒であることを示すとき に良く使われます。
当社ではすべて自社で清酒を製造していますので、当社 の純米酒は「生一本」と呼んでも良いのですが、このことを特に強調する必要もないので「生一本」とは表示し ていません。
一昔前までは、清酒は燗をして飲むものであり、冷やで 飲むことはあまり行儀のよいものではない、という感覚 が一般的でした。しかし、最近では、冷たくして飲んで 美味しい清酒に人気が出ています。そういった清酒の代 表が生酒です。
日本酒は古来より、殺菌をし、また熟成を促進するため に「火入れ」と呼ぶ加熱処理が行われています。通常の 清酒は、製造後と出荷(瓶詰め)直前の計2回、火入れが 行われています。
生酒は、この「火入れ」を省略した清酒で、表示基準で は、「生酒」、「生貯蔵酒」という表示が定義されてい ます。表示基準では定義されていませんが、生酒の一種 として「生詰酒」という言葉もあります。
清酒は一般的に、火入れ(加熱処理)をすると熟成が進み ます。火入れを省略することで、搾り立ての風味がその まま保存されます。これが生酒の特徴です。
火入れを一切しない清酒が生酒です。メーカーでは、通
常は冷蔵庫(0℃)程度で貯蔵しているため、熟成が進ま
ず、搾り立ての風味がそのまま残っていて、すっきりと
した軽い口当たりが特徴です。場合によって、「生生
(なまなま)」、「本生」などと表示することもあります。※室温で保存すると、「生老香(なまひねか)」と呼ばれる香りが出てきます。必ず冷蔵庫で保存してください。
弊社の製品: 牧水本醸造生酒
製造後の火入れをせずに、冷蔵庫で貯蔵した生酒を、出
荷直前に一回だけ火入れを行ったものが生貯蔵酒です。
略して「生貯」と呼ぶ場合もあります。「先生(さきな
ま)」と呼ぶ人もいます。表示基準(の実施要綱)では、生酒と区別がつくように、
「生」と「貯蔵」の文字の大きさの比が3.5:1
以下とす るように(「生」が大きくて「貯蔵」が小さすぎないよ
うに)、定められています。※加熱殺菌をしてありますので、室温での保存も可能です
が、入手後はできるだけ冷蔵庫で保存し、風味が損なわ
れないうちにお飲みください。
弊社の製品: 牧水アルプス吟醸生貯
この言葉は表示基準では定義されていませんが、比較的 良く使われる言葉です。製造後に一度火入れをし、後はいっさい火入れをせずに 出荷される清酒です。
メーカーにとっては、「生酒」に較べて、「生貯蔵酒」 では出荷後の商品の安全が、「生詰」では貯蔵時の商品 の安全が確保されるという利点があります。どのメーカー でも、味や商品の安全を勘案して、生酒を出荷しています。
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