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1994年7月
七月の半ばを過ぎ、暑さが本格的になってきたころ、そ の年の冬に作った日本酒の熟成を調べる呑切という行事 が行われます。
三月の終わりころ新酒がすべて出来上がると、酒造りの 最後の作業として火入れを行います。冬期に醸造し発酵 した酒は酒漕で搾られて、澄んだ清酒と酒粕に分けられ ます。このできたての清酒(生酒)の中には生きた酵母は ほとんどいませんが、酒を熟成させる酵素はまだ残って いて酒の味を変えていきます。それを三月終わりころに 味が調和したところを見計らって、55℃位に熱した蛇管 の中を通して、残った酵母や酵素の働きを殺します。こ れが「火入れ」という作業です。
火入れは昔から日本酒独特の高度な技術で、西暦1500年 ころにはすでに行われていたという記録があります。葡 萄酒では、わずか100年前になってやっとフランスで有 名なルイ・パストゥールがこの技術を発見し、以後葡萄 酒が腐らなくなったという有名な話があります。
火入れをした日本酒は、密封したタンクに保存されて夏 を越します。この酒が火入れの後順調に熟成しているか どうかを七月頃初めて開けてみて調べる作業が呑切で、 タンクの下部にある呑口(のみくち)を開ける(切る)こと から名付けられています。この行事はメーカーの重要な 行事の一つで、メーカーの幹部と製造責任者である杜氏 や出荷責任者などが立ち会い、変質した酒はないかを調 べたり、熟成の度合いによってタンクごとの出荷時期を 決める判断をしています。
[追加] 1995年の初呑切の様子をまとめました。
呑口 呑口を開ける
梅雨も半ばをすぎ、陽射しの強い夏がまもなくやってき ます。暑さや陽射しは、日本酒の大敵です。温度の上昇 や、陽射しの中の紫外線により、清酒の品質はどんどん 劣化してしまいます。
私どもの蔵では、真夏でも品温が20度前後で日本酒を貯 蔵しており、瓶詰めをしたお酒も、蔵から販売店の皆様 のもとへ輸送するときは、直射日光が当たらないように シートをかけて輸送するなど心がけています。
その後、お酒が消費者の手元に届くまでの間の品質管理 は販売店の皆様の責任です。どうかお酒の保管の際には、 直射日光に当たらないよう、気温が高い場所に長い間保 管しないよう、心を配ってください。
また、生酒やハートホリデーは室温でも品質が劣化する ので、なるべく冷蔵庫に保管してください。冷蔵庫に保 管できない場合は、ご面倒でも、2〜3日で販売する本数 ずつ、こまめに注文してくださるようお願いいたします。
「ハートホリデー」の瓶とレッテルが新しくなりました。
このお酒は、アルコール度数が8%の低アルコールの純米 酒で、アルコールに弱い方や、日本酒があまり好きでな い方にも飲んでいただけるお酒を、と開発したものです。 今回新しくなったレッテルは、若い方、女性の方にも興 味をもっていただけるよう、華やかな色合いで、「低ア ルコール」、「純米酒」を強調しました。
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