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米の力

2000年1月


大部分の方がご存知だと思うが、当社では十年近く前から低アルコール酒「ハートホリデー」を発売している。この酒は、従来の日本酒とかなりタイプが違い、甘味と酸味が強い酒である。

このタイプの低アルコール酒は、香川県の勇心酒造の社長が開発し製造特許を取得した酒であり、全国の有志二十社ほどが参加して作った「コンポ・バムバム」というグループの会員しか作る事のできない酒である。

この会の会員で中心的な役割を果たしており、かつ一番製造量の多いのは、宮城県の一ノ蔵である。「姫膳」という名前を聞いた事のある人は多いであろう。当社もこの会の設立当初からのメンバーである。

このグループは、低アルコール酒の製造だけを目的としているのではない。米の持つ力を引き出して、身体にやさしく、環境にやさしい製品を作っていこう、と考えたメンバーが集まったものである。

基本理念としては、日本人は太古から「米」を主食としてきた民族(人種)であり、体質的に米が一番あっている。この米を主成分とし、酒造メーカーの持っている米の発酵技術を組み合わせる事により、日本人の身体に良い製品を作っていくことを目標としている。

その商品化の第一弾が低アルコール酒であった。米の味を十分に引き出したその味は、他のタイプの低アルコール酒とは一線を隔すものであることは、ご賛同いただけるであろう。

低アルコール酒発売以後、開発者である勇心酒造では、米を発酵させたエキスから様様な有効成分を抽出して、商品化を進めてきた。主なものは、入浴剤や乾燥肌に効くローションなどである。これは大手の薬品・化粧品メーカーや乳児用の薬品を作っているメーカーから商品化されている。成分に「ライスパワー」という名前が書かれている商品がそれである。

話はそれるが、中小企業支援法の説明会に行かれたかたは、その時の資料に書かれている事例を見ていただきたい。その中の一つが、この勇心酒造と我々のグループである。

我々酒造メーカーとしては、ローションを売る訳にはいかないので、こういった形で米の力が実証されていくのは嬉しい反面、商品化ができず、少々残念な思いでいた。しかし、やっと我々が商品化できそうな有効成分ができてきた。今は詳しくは言えないので、少しもったいぶった言い方になるが、米のエキスの有効成分とアルコールの持つ精神をリラックスさせる効果との相乗効果で、身体を健康にする酒が作れそうである。平成十二年度中には、商品化できるであろう。もう少し詳しい話が知りたい方には、個別であればお話はできるであろう。

こういった、ある意味での際物とは別に、色々な酒を平成十二年には商品化していきたいと考えている。同じ酒をレッテルだけ変えて別の商品にするのではなく、個別化の時代に即した味を追求していきたい。それと並行して皆様の意見をお聞かせいただきながら、商品の整理も行う計画でいるので、ご協力をお願い致します。

今年度の造りも中盤にさしかかり、良い酒がだんだんとできて来ていることをご報告して、今月の便りの締めくくりとします。

 

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