家庭料理で日本酒をおいしく
家庭で楽しむ日本酒と料理の相性
よく、日本酒と料理の相性という話がでると首をかしげる人がいます。それは当然で、いつも日本酒を呑んでいる人は、どんな料理でも日本酒だけ。それでも料理も日本酒も十分に楽しんでおられるようです。というのも、日本酒には独特の「旨味」があって、これは日本人ならだれもがわかる味わいです。これが日本酒がどんな食事にも合う理由です。
でも、何にでも合うからといって、いつも同じ酒ばかり呑むのはつまらないでしょう。日本酒にはいろいろな種類があり、味も様々。といってもお酒だけを呑み較べて、こちらが旨い、こちらの方が良い酒だ、などと単純な○X比較ではそれぞれに特徴を持っているお酒が可愛そうです。
そこで、ちょっと発想を変えて、料理を仲立ちにしてお酒を評価して見ましょう。といっても、数種類の料理を用意してこっちの料理にはこの酒、この料理では別の酒、などと一度に較べようとするのはバブルの発想。家庭で何日かかけてじっくりと評価してはいかがでしょうか。
タイプの違うお酒を二本用意して、数日かけていくつかの家庭料理との組み合わせを試してみましょう。
例えば一昨日の鯵の塩焼きでは本醸造酒の方がおいしかったけれど、昨日のハンバーグでは純米酒の方がおいしかった。今日のハムエッグはどちらが合うかな、など二本のお酒で何日も楽しめます。そうするうちに、お酒の特徴と料理の相性が自然と分かってくるのではないでしょうか。
家庭で呑み較べるときの利点は、日本酒どうしの比較だけでなく、ワインと日本酒、ビールにウイスキー、どんな組み合わせでもお酒さえあれば簡単に呑み較べができることです。あまり難しく考えないで、どちらかと言うとミスマッチを楽しむくらいの気持ちで気軽に試していただくのが一番でしょう。
●酒の肴にもなる毎日のおかず
子供にはおかず、大人には肴になる料理をいくつかご紹介しましょう。数をだんだんと増やしていきたいと思っておりますが、ご紹介するからにはちょっと変わった料理と考えると、なかなか数は増えないかもしれません。気長にお待ちください。
なお、「お薦めのお酒」というのは当社の商品の中ではこれが一番合うかな、と思われるものを選んでみました。人によって感じ方も違いますのでご参考までに。また、色々な蔵元のお酒でお試し下さい。
クルミとシメジの牛肉巻き
お薦めのお酒は 「牧水生酛純米」
醤油に漬けた牛肉でクルミとシメジを巻きフライパンで焼きます。濃い目の味付けの料理の代表です。使用する肉の部位、醤油の濃さなどを調整してみてください。クルミといえば信州、シメジと言えば信州。新しい信州の味。言い過ぎでしょうか。
材料(四~六人分)
牛もも肉薄切り200g(10~12枚)、日本酒・しょうゆ(同量。各大さじ3程度)、砂糖大さじ1/2、しめじ100g、くるみ40g(約8~10個)
バットの中にみりん、醤油を同量入れ薄切り肉とシメジを30分程度漬け込む。
くるみは熱湯数分間つけ、渋皮をむき、丸一個の1/4程度に割る。
漬け置いたシメジをサッと炒める。
シメジと胡桃を芯にして牛肉を巻く
巻いた牛肉を、巻き終わりを下にして焼き(巻き終わりがくっつくように)、その後転がしながら全体を満遍なく焼き上げる。
一巻きを斜めに半分に切る。お好みで芥子をつけて食べてもおいしい。
ちょっと濃い目の味付けになるので、しっかりした純米酒と合わせるとおいしいでしょう。
野菜たっぷり肉団子
お薦めのお酒は 「つゆ草純米冷酒」
みじん切りにした野菜をたっぷり入れた肉団子です。中華の肉団子の様に甘酢アンをかけるのではなく、生姜醤油であっさりと食べると良いでしょう。実は日本酒は生姜の味に負けてしまいそうになるので、酸味のある軽めのお酒が一番合いそうです。
材料(四~六人分)
春雨50g、豚挽き肉200g、しいたけ4枚、あさつき(千本ねぎ)1/2束、にんにく1欠け、砂糖大さじ2、しょうゆ大さじ2、日本酒大さじ1、ごま油、サニーレタス適宜
野菜は全てみじん切りにし、ひき肉と良く混ぜる。
そこに小麦粉、パン粉、卵、塩胡椒、日本酒を加えて良く混ぜる。
170~180℃の油で一口大の大きさに揚げる。
野菜をたっぷり入れてください。生姜醤油であっさりと食べられます。
生姜醤油で食べる場合には、あっさりした日本酒(生酒など)では生姜に負けてしまいます。純米酒やお燗の酒が良く合います。
鯵の香草焼
お薦めのお酒は 「牧水生酛本醸造」
油をあまり使わない洋風の肴料理です。三枚におろした鯵に、玉ねぎや香草をかけ、パン粉をかけてオーブンで焼き上げます。
味を三枚に下ろし、オーブンパンの上に並べる。
その上に、玉ねぎ(エシャロットでもおいしい)、セロリ、パセリなどのみじん切りをかけ、粉チーズを混ぜた生パン粉を満遍なくふりかけ、オリーブオイル(グレープシードオイル)を軽く降りかける。
オーブンで焼き、皿に盛ったところでバジルやミントの葉を乗せる。
あっさりした洋風の魚料理です。普通酒、本醸造酒などが一番合うようです。
フレッシュモツァレラチーズとトマトのおつまみ
お薦めのお酒は 「御園竹大吟醸」
厳密にはおかずではありません。大吟醸は食事と一緒に呑むには香りが高すぎます。この香りにオリーブオイルの香りをぶつけて楽しんで見ましょう。二つの香りにトマトの酸味、フレッシュモツァレラチーズの食感。元はイタリア料理ですが、ワインより日本酒の方が合うのではないでしょうか。
材料(四~六人分)
トマト1個、モツァレラチーズ(生)1/2個(約50g)、バジル(生)16枚、オリーブオイル
トマトはくし切りにする(大きさにもよるが16等分くらい)
フレッシュモツァレラチーズを2mm程度の厚さに切る。
トマトの上にチーズとバジルの葉を乗せて、上からオリーブオイルをかける。
大吟醸は、香りが高く、それにあう料理はなかなかありません。香りの強いオリーブオイルを使うと、大吟醸の香りとオリーブオイルの香りが上手くまとまります。さっぱり感を出したいときには、オリーブオイルにみじん切りにしたたまねぎと酢を入れて、簡単なフレンチドレッシングにしても良いでしょう。
もともとはイタリア料理ですが、ワインによりは日本酒にあう料理ではないでしょうか。
●日本酒に合う簡単おつまみ
栄養をとりながらお酒を飲む方が、酔いもまわらず、健康にも良いとされています。簡単にできるつまみをいくつかまとめてご紹介します。
チーズいろいろ
動物性たんぱく質を摂取すると、アルコールの分解能力が上がり、肝臓を痛めません。タンパク質を簡単にとるにはチーズが一番です。
カマンベールチーズ
マンベールチーズは、癖が無く、口当たりも良いので、あっさりとした酒に合います。大吟醸や生酒(本醸造タイプ)と合わせてみて下さい。
フレッシュモツァレラチーズ
その他、最近はフレッシュモツァレラチーズが手に入るようになってきました。モチモチした食感がおいしいですね。薄く切ってかまぼこ風に醤油をつけるとあっさりした酒に合います。塩と荒挽きの黒胡椒をかけると、味の濃い酒に合うのが不思議です。
さっぱりチーズ(自家製チーズもどき)
チーズは癖があっていやだ、という人向きの、家庭で作れるチーズもどきです。品質保証期限をすぎた牛乳がある時などにお試しください。
【作り方】牛乳を煮立て、食酢(牛乳1リットルに大さじ1杯程度)と食塩を入れ更に煮る。煮汁が澄んできたら、布巾で絞る。
【食べ方のヒント】塩こしょう、醤油などで食べます。小分けにしてイクラを載せるとイクラの塩気でおいしく食べられます。
イカのつまみの一工夫
イカくんサラダ
【材料】 イカの薫製1/3袋、酒大さじ1,セロリ2本、塩小さじ1/4,酢大さじ1,レモン汁1/4ヶ(酢を使わないでレモン1ヶでもよい)、胡椒少々
【作り方】
1.イカの薫製(半分に切ると食べやすい)をボウルに入れ、酒をふってしばらく置き、塩味を和らげる。
2.セロリは筋を取り、5cm長さの短冊切りにする。
3.酢、レモン汁、故障は合わせておく。
4.セロリとイカの薫製を水気を切ってまぜ、3.をかけてさっと和え、器に盛る。
【食べ方のヒント】長く置くと水気が出るので、すぐに食べる。
【食べ方のヒント】塩こしょう、醤油などで食べます。小分けにしてイクラを載せるとイクラの塩気でおいしく食べられます。
さきイカのコチュジャン和え
韓国の辛子味噌「コチュジャン」を使ったつまみです。
【作り方】さきイカをごま油でさっと炒め、そこに日本酒とコチュジャンを加えて絡めます(コチュジャンは辛いので、あまり多くしない方が良いでしょう。好みで炒りゴマなどを振ってもよいでしょう)。そのままではイカが硬くて食べられませんので、冷蔵庫で寝かせます。徐々に味がしみてイカが柔らかくなります。5日~1週間ころが食べ頃です。
さきイカのマヨネーズ和え
さきイカにマヨネーズをつけて食べるとおいしいのですが、ちょっと手を加えて見てはいかがでしょうか。
【作り方】さきイカをはさみで半分~1/3程度に切る。酒を振りかけて柔らかくしてからマヨネーズと醤油を絡める。好みで辛子やわさびを入れると味が引き締まります。
肴と言えば魚
日本人なら魚だ、という方に、ちょっとした魚料理を一品。
小鯵のマリネ
【作り方】小鯵を2度揚げして、野菜(タマネギ、セロリ、人参など)と混ぜ、酢と油(フレンチドレッシング)を上からかけて数時間寝かせる。
ホットプレートで酒宴
ホットプレートでつまみを作りながら酒を飲むのも、手間いらずで楽しい趣向です。何でも焼けばつまみになります。今回はその中で、締めの一品をご紹介します。
そば粉のクレープ
そば粉を溶いて焼くだけです。焼きたてはそばの香りがして香ばしく、お酒がおいしくいただけます。
【作り方】そば粉に卵と水を加え、ゆるゆるに溶きます。これをホットプレートで焼きます。卵の量は2~5合であれば1個で良いでしょう。ホットケーキ程度の大きさに薄く焼いて野菜などを巻いて食べても良いですし、ビスケット程度の大きさに焼いて、カナッペ風にするのも良いでしょう。今回はネギ味噌をつけてお召し上がりください。
ネギ味噌
これだけでもお酒が飲める(笑)というものです。
【作り方】ネギ(なんでも良い)をみじん切りにし、味噌と混ぜます。酒を煮きったものを固さを見ながら徐々に加えます。(煮きり酒:日本酒をなべに入れ加熱します。酒があったまってきたら竹串などで火をつけてアルコールを飛ばします。とても味のある調味料です)