Hollyhock
――光に向き、運命と響き合う、印象的な深み
軽やかな甘味とどっしりとしたうま味が織りなす繊細で複雑な深み――。純米吟醸酒「Hollyhock」は、抗いがたい運命に翻弄されながらも光に向く心、その切実な美しさを閉じ込めた一本です。「紫式部モダニズム」が掲げる「もののあはれ」の世界観と、このお酒に込められた葛藤の美意識をご紹介します。
Hollyhock――光に向く姿と抗えない運命
Hollyhockとは「立葵(たちあおい)」の英名であり、太陽を追って花が向きを変えることから「仰日草(あふひぐさ)」とも呼ばれます。 『源氏物語』において、この花は「光に向かう心」と「運命に抗えない現実」という、相反するテーマを象徴するモチーフとして登場します。太陽の輝きを求めて伸びる前向きで力強い姿でありながら朝に置く霜を自ら消すことはできない。そのジレンマの中に宿る深遠な美学を、Hollyhockという名に込めました。
物語の劇的な展開を思わせる味わいの変化
酒器から立つのは上品な吟醸香。口に含めば軽快な甘味が訪れますが、その直後、喉を通るころには存在感のある太いうま味が押し寄せます。この劇的な味わいの変化は、まるで物語の展開そのもの。最後には、青天の中で伸びやかに咲く立葵のようにすがすがしい余韻を残します。
『源氏物語』三十帖「藤袴」では玉鬘(たまかずら)が自身の複雑な境遇を詠んだ歌が登場します。蛍兵部卿宮の「朝日さす 光を見ても玉笹の 葉分けの霜を 消たずもあらなむ」への返歌「心もて 光に向かふ あふひだに 朝おく霜を おのれやは消つ」です。光に向かって咲く立葵でさえ、朝霜を振り払うことはできない。ましてや私は自らの意志で宮仕えをするわけではないのだから、あなたを忘れることはありません――。そんな切なくも強い心情が、奥行きのあるお酒の味わいと深く共鳴します。
深みと存在感を追求した製法
この複雑な深みを表現するため、製法には伝統の生酛(きもと)造りを採用しました。酒米には、独特のコクと幅を持つ金紋錦を選び、アルコール度数は16%に設定。骨太なうま味と圧倒的な存在感を追求しています。プレミアムラインでは、さらに洗練された中取りのみを使用し、力強さの中に透明感を共存させました。
人生を振り返るひとときに
甘味からうま味へ、ドラマチックに変化する味わいは、人生の機微を噛みしめるひとときに最適です。光に向かう心と運命、そしてそっと朝霜に向ける慕情。その狭間で揺れる美意識を味わいの深みに閉じ込めた「Hollyhock」。どうぞ心ゆくまでご堪能ください。