Dayflower
――花開くような味わいと儚く消えていく淡い余韻
華やかな香りと甘酸っぱさが煌びやかに広がり、やがて静かに幕を閉じる――。純米吟醸酒「Dayflower」はそんな「移ろい」と「儚さ」という紫式部が描いた美学を閉じ込めた一本です。ここでは「紫式部モダニズム」が掲げる「もののあはれ」の世界観とこのお酒に込められた美意識をご紹介します。
Dayflower ――移ろいと儚さと
Dayflowerとは「つゆくさ」の英名です。鮮やかで青色の花びらが印象的なつゆくさは、平安時代には摺り染めにも使われ、その色は「つきくさ色」とも呼ばれました。引き込まれるような青い美しさを持ちながら、水に晒せば容易に色が落ちてしまう。その性質からつゆくさは「移ろいやすさ」「儚さ」の象徴とされ、文学においては人の心を描写する表現のひとつとして使われていました。
水とともに淡く消えゆく青の色。その儚さはかつての鮮やかさを想う懐かしさや失われる痛みなど、複雑な心情を映し出します。『源氏物語』に描かれる無常、愛の終わり、栄華の衰退といった「もののあはれ」の世界観は、つゆくさが持つこの無常観と深く共鳴するのです。
深遠なモチーフを表現する味わい
華やかな香り、繊細かつ鮮やかに花開く甘酸っぱさ、そして儚く消えていく余韻。Dayflowerはこの古典的とも言える美学と呼応するお酒です。
『源氏物語』四十七帖「総角(あげまき)」には、つゆくさを詠んだ一節が登場します。 「なほ 音に聞く月草の色なる御心なりけり(やはり噂に聞くつゆくさのような移ろいやすいお方だったのですね)」 。これは、妹である中君のもとに立ち寄らず帰ってしまった匂宮に対し、姉の大君がその移り気に落胆する場面です。恋心のように甘く、しかし留まることなく消えていく味わいは、物語の情景を彷彿とさせます。
淡さを追求した製法
この「移ろい」と「淡さ」を表現するため、製法にもこだわりました。酒米には美山錦を選び、クリアな酒質を生む速醸酛(そくじょうもと)を採用。さらにアルコール度数を11%に抑えることで、軽やかな口当たりと儚い余韻を追求しています。現代の醸造技術によって、古典文学と溶け合う味わいが完成しました。
従来の日本酒が苦手な方にも
低アルコールで甘酸っぱい味わいは、従来の日本酒になじみのない方にも心地よく楽しんでいただけます。移ろいやすさの中にある一瞬の輝きを表現した「Dayflower」。静寂の余白に広がる、千年もの時を超えた美学を、ぜひ酒器に注いでご堪能ください。