なよ竹
――後に残るのは 竹林の静けさのような響き
すっと流れるような口当たりの中に潜む静謐な強さ――。純米吟醸酒「なよ竹」は、穏やかながらも揺るぎない存在感を放つ一本です。「紫式部モダニズム」が掲げる「もののあはれ」の世界観と、このお酒に秘められた静かな美意識をご紹介します。
「物語の祖」が宿る竹のモチーフ
『竹取物語』は、紫式部が「物語の出で来はじめの祖(おや)なる竹取の翁」と称賛した作品です。『源氏物語』十七帖「絵合(えあわせ)」にてこの言葉が使われました。平安中期にはすでに、この物語が古典としての権威を持っていたことが伺えます。
主人公の名は「なよ竹のかぐや姫」。「なよ竹」とは、細くしなやかでありながら、風雪に耐え、安易に折れることのない強さを持った若竹のこと。文学においては、その神秘性や清らかさ、そして芯の強さを象徴する言葉として親しまれてきました。
静謐な強さを秘めた味わい
このお酒は、なめらかな口当たりと香り、芯の通ったしっかりとしたうま味。そしてふんわりと広がる甘味の後には、月夜に揺れる竹林のような澄み切った余韻が残ります。
『源氏物語』二帖「帚木(ははきぎ)」には光源氏が空蝉をこう評します。「人柄のたをやぎたるに 強き心をしひて加へたれば なよ竹の心地して さすがに折るべくもあらず」。源氏がいくら求愛しても拒み心を律する空蝉。その姿に見出した「静かなる強さ」と「優美なしなやかさ」は、まさにこのお酒の味わいそのものです。
芯のある味わいを追求した製法
竹の持つ「芯の強さ」を表現するため、伝統的な生酛(きもと)造りを採用しました。酒米には山恵錦を用い、アルコール度数は16%に設定。生酛特有の酸が味わいの骨格を作り、深みとキレの良さを両立させています。さらにプレミアムラインでは、搾りの中でも最もバランスの良い中取りのみを瓶詰めし、より洗練された仕上がりを実現しました。
心の奥深くを見つめる語らいに
芯のある味わいと澄み切った余韻は、静かに自分と向き合うひとときや、深い語らいの場に最適です。静謐な強さと雅やかさを併せ持つ「なよ竹」。その一杯と共に、千年の時を超えて響き渡る紫式部の美意識に浸ってみてください。