〜2024年3月開催〜 第24回酒蔵開放を終えて

今年の酒蔵開放は、5年ぶりの3月春分の日の開催となりました。コロナ禍前はずっと春分の日と決めて開催していましたので、やっとコロナ禍前に戻ったことになります。

しかし、間の悪いことに当日は朝7時頃から雪。寒い一日で3時終了で片付けていると手がかじかんでしまうほどの天気でした。

この天気にもかかわらず大勢の方にご来場頂けたことは大変な喜びです。ありがとうございました。

お酒の試飲

試飲のお酒は、今年の出来たて新酒十種類、通常商品約二十種類ほどを用意しました。
新酒も大吟醸、純米大吟醸なども惜しみなく提供。通常商品も、ここ一年で各種コンテストで受賞したお酒、フランス、アメリカに輸出されて好評を博しているお酒、などとジャンル分けをしてみました。

自分の好みや体調に応じて、好きなお酒を好きな分量飲める、というのが当社の蔵開放の(コロナ前の)スタンス。
以前はカメから柄杓で汲んで飲む形式でしたが、コロナ等の飛沫感染が怖いので、一昨年から720ml瓶から注ぐ形式。
今年の新酒、大吟醸無濾過生酒は20本、昨年鑑評会で賞を頂いた、出品酒規格の大吟醸、純米大吟醸合わせて20本など含め120本近くのお酒が試飲で消費されました。

燗コーヒー

当日はとても寒かったので、燗酒コーナーには沢山の方に来場していただき、燗酒を飲んでいただくことができました。今年はお燗のお酒は、晩酌酒「御園竹」、燗酒コンテスト金賞常連「重々きれ口」、アメリカで評判の「旨口生酛原酒」の三種類に限っての提供でした。

燗酒コーナーにお客様が立ち寄ってくださった一番の理由は「燗コーヒー」でした。
御園竹濃醇旨口生酛原酒の熱燗にインスタントコーヒーを溶かしただけなのですが、お酒の甘味とコーヒーの苦みが合わさってとてもおいしい。誰が呼んだか「燗コーヒー」。

噂を聞きつけた人が引きも切らずいらっしゃって、720ml瓶12本が もともとは、佐久市臼田のエディットコーヒーロースタリーさんがこのお酒でコーヒーをドリップするとおいしいと教えて下さったのですが、蔵開放でドリップをしていたら間に合わないので、インスタントコーヒーの出番となりました。社長の趣味でネスカフェ香味焙煎を使ったのですが、これとお酒との相性が良かったようです。皆様も是非お試し下さい。

どぶろくと甘酒、酒粕など

昨年から、お酒の試飲をされる方には500円のご負担をいただいているのですが、どぶろくと甘酒は無料でお楽しみ頂きました。

暖かい日は冷たい甘酒の方が好まれるのですが、今年は温めた甘酒が大人気。加熱処理をしていない甘酒をあたためると麹の良い香りが拡がり、幸せな気分になります。

当社の酒蔵開放の昔からの定番は「味変」。甘酒やどぶろくにいろいろ混ぜて楽しもうという企画です。

甘酒の味変は、チョコレートと柚子。昔からの定番味変です。どぶろくは柚子とトマトジュース。トマトがどぶろくの旨味を補って、えもいわれぬおいしさです。これも定番になりつつあります。もう一つ社長のお薦めはどぶろく+ビール。さすがに当社ではビールは造っていないので自重しましたが、十二六とビールを半々に混ぜると、これまたおいしいお酒に早変わり。これも是非お試し下さい。

もう一つ、これも蔵開放の定番になっているのが、酒粕を使ったスイーツ。なんてことはない、酒粕を寒天で固めただけのお菓子ですが、お手軽でおいしい。また大吟醸の練粕をリッツに載せただけでも立派なカナッペ。こんなものを提供しました。酒粕スイーツに関しては、当社のホームページにレシピがいくつか掲載されています。是非ごらんください。

口休めは「野沢菜」

口休めというより、肴。当社のお酒がおいしくなるのが「野沢菜漬け」です。蔵開放では毎年「古漬け」と「時漬け」の二種類の野沢菜漬けを用意しています。

古漬けは十一月に漬けた野沢菜がだんだん乳酸発酵を初めて、ちょっと酸っぱいんだけれど旨味がある、同じ発酵食品である日本酒、特に長野県の、その中でも味のある当社のお酒によく合います。生酛造りも乳酸発酵に特徴がありますので、相性がよいのでしょう。今年の冬は暖かかったので、いつもよりちょっと乳酸発酵が進んでしまっていましたが、まだまだおいしく食べられました。

吟醸酒などの軽快なお酒用には「時漬け」を用意しています。3月の上旬に四国から野沢菜を取り寄せて10日程塩で漬けたものです。即席漬けよりは時間がかかっています。これに、大葉を刻んだもの、レモン果汁を混ぜるとフレッシュな味わい。フレッシュなお酒にはフレッシュな味わいがベストマッチ。これも大好評でした。

古漬けと時漬けの両方を合わせて50kg程は消費されたようです。

二つの特設会場

大勢の方で賑わっている試飲会場とは別に、ゆっくり、じっくり飲んでいただける特設会場を設けました。いずれも蔵の中の二階です。

杜氏大いに語る

杜氏が一番生き生きする場所、麹室の前で杜氏が思いの丈を語りました。

ここ一年間で各種コンテストでいろいろな賞を受賞しました。全国新酒鑑評会で金賞の大吟醸、関東信越国税局酒類鑑評会で優秀賞の大吟醸と純米大吟醸、ワイングラスでおいしい日本酒アワード最高金賞の「御園竹新米新酒一回火入れ」金賞の「むらさきつゆ草」、全国燗酒コンテストで金賞の「御園竹」「重々きれ口」など。それぞれのお酒の特徴や作り方など、杜氏の熱弁が冴え渡りました。

また、重田杜氏が当社に移籍してきて4年が過ぎましたが、その中で重田杜氏と地元の老大工(当社の社長三代の下で仕事をしたという齢90近い方)で改装した麹室なども皆さんに見て貰えました。

杜氏は休憩時間がとれないほど、大いに語ったようでした。

熟成酒の館

当社の蔵開放では2年目(2000年)から、当日限定で大吟醸21年熟成酒を試飲していただき、販売をしていました。

よく考えてみたら、それからもう20年以上経っているので、40年以上経ったお酒が出来ています(実際には50年近く前のものもありますが)。そんなお酒を楽しんでいただこうと、熟成酒をじっくり飲んでもらう場所を用意しました。

当社の創業当時の蔵の二階の試飲スペース。ここに、大吟醸22年熟成酒、42年熟成酒、24年熟成の貴醸酒、アルミ缶で16年熟成させた生酛原酒などを飲んでいただきました。

アンケートの結果なども踏まえて、25年熟成の大吟醸200ml、24年熟成の貴醸酒200mlをそれぞれ2,000円、9,000円でECサイト限定で発売してみようと思っています。

食べ物など

手打ち蕎麦

当社から少し離れないと食事処がないため、手打ち蕎麦は蔵開放に欠かせないものとなっています。

信州蕎麦掻き隊(信州蕎麦打ち研究会)に二八ぶっかけ蕎麦の提供をお願いしました。今年は350食ほど準備していただき、300食以上が提供されました。残りはスタッフがおいしくいただきました。

Sun’s による蓼科牛のハンバーガー

ハンバーガーと日本酒って相性はどうなんだろう、と思う方もいらっしゃるかもしれません。何年も続けていると、どうも当社の生酛系のお酒の原酒があるとハンバーガーがさっぱり食べられるようです。

今年も(たぶん)200食以上用意していただいたと思うのですが、これも早々に売り切れとなってしまいました。

来場者の中でも強者は、蕎麦とハンバーガーの両方を召し上がった方もいらっしゃるようです。ちなみに日本酒は飲み物ですが、ハンバーガーは飲み物ではありません。蕎麦は...飲み物に近い食べ物でしょうか。