伝統的な生酛(きもと)造りのお酒をブレンドした「御園竹」、そして生酛造りによる「牧水生酛本醸造」「牧水生酛純米」。これらは冷やでも十分に味わい深く、燗につけてもより深い魅力を引き出せるお酒です。本記事では、この3種の日本酒と、ゆずの香り際立つ豚肉の煮込み料理とのペアリングをご提案します。燗ならではの温度でとろける脂の口どけをぜひお楽しみください。
「御園竹」「牧水生酛本醸造」「牧水生酛純米」とのペアリング
【お酒の温度帯】
「ゆず香る昆布塩豚とししとう煮込み」には、ぬる燗から上燗(40~45℃)程度がおすすめです。塩で旨味を凝縮させた豚肉の脂がこの温度帯で絶妙な口どけに。さらに立ち昇る日本酒の芳醇な香りとゆずの爽やかな風味が味わいのハーモニーを生み出します。

【各銘柄の特徴とペアリングポイント】
「御園竹」はまろやかな膨らみと親しみやすい味わいが特徴。豚肉の脂と絶妙に調和しながら、爽やかな後味へと導きます。ししとうの辛味とも好相性で、バランスの取れた味わいを演出。
「牧水生酛本醸造」はやや辛口の切れ味が特徴。豚肉の脂を心地よく切り、より深い旨味を引き出します。ピリッとした辛味との相性も抜群で、料理全体を引き締めます。
「牧水生酛純米」は力強く深みのある味わいが特徴。しっかりとした辛口は豚肉の野性味を巧みに調和させ、新たな風味に広げます。華やかな香りと立体感がししとうに果実感を加え、奥行きのある味わいに。
銘柄や温度帯によって異なる表情を見せる日本酒。それぞれの個性を楽しみながら、お気に入りの組み合わせを見つけてみてください。
レシピ「ゆず香る塩豚と白菜と春菊の昆布煮込み」

【材料】(2~3人分)
豚肩ロース肉ブロック 300~350g
塩(すり込み用) 適量
昆布 2枚
水 3カップ
酒 1/4カップ
長ネギ 1本
ししとう 6本
ショウガ 1かけ
ゆず 1/2個
【作り方】
[下ごしらえ](1~3日前)
豚肩ロース肉全体に塩をすり込み、昆布を上下にはさんでキッチンペーパーで包みます。さらに、空気が入らないようにしっかりラップをし、密封できる袋やパックに入れて冷蔵庫で1〜3日寝かせ、塩豚を作ります。キッチンペーパーは1日ごとに交換してください。
1.塩豚を水の張ったボウルに入れて10分したらキッチンペーパーで水気を拭き取ります。3センチの厚みでカットし、フライパンで表面を焼きます。
2.昆布は食べやすい大きさに、長ネギは10センチにカット、ショウガは薄切りにします。
3.鍋に塩豚と昆布、水を入れて火に掛け、沸騰したらアクを取り、酒、長ネギとショウガを入れ弱火でフタをして1時間ほど煮込みます。水が足りなくなったら適宜足します。
4.ししとうはさっと洗って先端を切り落とし、竹串などで穴を開けます。ゆずは皮の黄色い部分を擦り、果汁を搾ります。
5.3にししとうとゆず果汁を小さじ2ほど加え、さらに8分煮込み、塩で味を調節します。
6.器に盛り付け、ゆずの皮を散らして完成です。
出汁に使う昆布について

出汁用の昆布は、その種類によって個性豊かな味わいの違いを見せてくれます。真昆布は上品で甘味のある澄んだ出汁を生み出し、利尻昆布は程よい塩味と豊かな風味が持ち味で、透明感のある出汁に仕上がります。羅臼昆布は旨味が濃厚で力強い味わいを演出し、日高昆布は爽やかでクセのない出汁を取ることができます。和食の品格を決める出汁は、料理の用途や合わせるお酒に応じて昆布を使い分けることで、より深い味わいの世界を楽しむことができます。ぜひさまざまな組み合わせで自分だけの出汁を追求してみてください。